NASの良いとこ、怖いとこ

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充電器やケーブルなどでお馴染みのUGREENがクラウドファンディングを開始したことで、NASブームが到来しているように感じる今日この頃。NASは良いですよ。ネットワーク上にあるから、色々な場所からアクセスできて超便利だし、RAIDを組んで冗長性アップで、なんとなく安全そうだし。うちでもSynology社製のNASを稼働させています。

以下、NASを導入しようか迷っている一般家庭に向けたアレコレ(個人の感想)です。UGREEN製品のレビューではありません。悪しからず。

NASはストレージ

いま大注目のNAS(Network Attached Storage)は、名前のとおりネットワークに接続された記憶装置。イケイケです。外付けの記憶媒体が時代遅れに見えてしまいます。図中では、スイッチに繋げていますが、Wi-FiルーターのLANポートに繋いでもOKです。

記憶装置をネットワークに接続すると、ざっくり次のようなことができるようになります。

  • ネットワーク上の記憶装置にデータを格納できる
  • ネットワークに接続されたパソコン、スマートフォン、タブレット、テレビなど複数機器でNAS内のデータを共有できる

NASの基本は「ストレージ」です。各社のNASでアピールされているアレコレは、一般家庭にはほぼほぼオマケです。「ウェブサーバーとか建てられるじゃん!」とか言われても困ります。やりたい人はお好きにどうぞ。

NASのデータはRAIDで安心?

前述したとおりNASの基本は「ストレージ」です。データを”安全”に格納するのがお仕事です。そこで登場するのがRAID。冗長化機能と言うヤツです。複数のディスクを用いてデータを格納することで冗長性(安全性)を向上させます。

各NASメーカーともに、2ドライブ製品ならRAID0と1が、4ドライブ以上の製品ならRAID0と1に加えて5、6、10を選択できるようになっているのではないでしょうか。

各RAIDに必要なディスク数と、大雑把な耐障害性は以下のとおり。

RAIDの種類必要なディスク数耐障害性
RAID 0 (ストライピング)2台以上×(1台でも故障すれば終了)
RAID 1(ミラーリング)2台◎(1台)
RAID 5(パリティ分散)3台以上⚪︎(1台)
RAID 6(複数パリティ分散)4台以上◎(2台)
RAID 10(RAID1+0)4台以上⚪︎(1~台)

とりあえずRAID 0以外で、RAIDを組んでおけば、大切なデータを失うリスクが大幅に低下します。

データ喪失の恐怖と暮らす

RAIDのおかげで、冗長性マシマシ&安全性アゲアゲです。とても頼りになりますね。これでデータの喪失に怯える必要がなくなりました。めでたしめでたし、とはいきません。

例えば、次のような場合にはデータが失われる可能性があります。

  • 誤操作でデータを消してしまった
  • NASがウィルスに感染した
  • RAIDコントローラーが逝った
  • 耐障害性を上回る本数のディスクが故障した
  • NAS本体を蹴っ飛ばした

などなど。

いくらRAIDを構築していても、悪意のある攻撃を受けたり、ソフトウェアやハードウェアが故障してしまえば、ひとたまりもありません。データが吹っ飛びます。データを入れれば入れるほど、大切なものが増えれば増えるほど、喪失に対する恐怖が増してゆく。それがNASライフです。恐怖に打ち勝つには、RAIDを過信せず、データを定期的にバックアップする以外にありません。

ありがたいことに、各社製品ともにバックアップツールがインストールされています。

Synologyで言えば、Hyper Backup

他にも便利?なツールがインストール済み

バックアップツールのみならず、市販のNASにはいろいろなツールがインストールされています。写真管理ツールやメディアサーバー機能などが代表的でしょうか。マルチメディア機能を目当てにNASを導入しようと考えている方もおられるかもしれませんね。

その他に、ビジネス向けのツールが使えることや開発者向けのツールがあることを売りにもしていますが、一般家庭にはほぼ無用の長物です。「弊社の製品はパワフル便利!」という宣伝文句だと思いましょう。何でもかんでもやりたいなら、安いPCを買って、Linuxでも入れて遊ぶ方が安上がりで楽しいと思います。

もちろん製品を使い倒す・遊び尽くす向きの方々は、ガンガンいきましょう。

あっちの意味での安全性は?

UGREENのNASについては、会社の所在地的に「セキュリティが気になるよね」みたいな話を目にすることがあります。心配であれば、他社の製品を検討してみても良いでしょう。

意外と掛かるよ初期費用

初期費用の高さもNASの怖さのひとつです。その点、UGREENさんがクラウドファンディングで販売しているNASは、非常に高コスパ。現時点で40%OFFと35%OFFは在庫切れですが、30%OFFでもまだまだ良コスパと思います。

例えばSynology社のNASのDS723+にメモリとネットワークカードを追加すると¥131,446。最初から8GBのメモリが積まれていて、2.5GbEにも対応しているDXP2800は30%OFFの¥39,116。大変お値打ちですね。

Synology NASキット 2ベイ DS723+¥79,900
Synology E10G22-T1-Mini¥21,090
Synology D4ES01-8G¥31,693

試しにUGREENのDXP2800本体に必要なものを加算してみます。

まずは内蔵ディスク。NASには内蔵するディスクが必要です。NAS用の高耐久が謳われているディスクがおすすめです。代表的なNASグレードのHDD ウエスタンデジタル WD Red Plusの4TBが¥20,680。これが2台で¥41,360。

4TBも要らない?2TBなんてすぐ埋まりますよ。

DXP2800には、2.5GbEのネットワークポートが搭載されています。2.5Gbpsで通信をしたければ、対応したスイッチも必要になります。例えばPlanexのFX2G-05EM2が¥9,796です。

ここまででDXP2800本体(30%OFF)とハードディスク2台とスイッチングハブの合計金額が¥90,272*。適当に組み合わせてみましたが、UGREENのNASのコスパはやばいですね。
それでも9万円はかかるわけで、NASの導入にはそれなりに費用が掛かることをご理解いただけたのではないでしょうか。

上記に加えて、バックアップ用のHDDも必要です。HDDの値段が高止まりしていて嫌になります。SSDも載せるとなれば、さらに数万円のプラスを覚悟しましょう。

*DXP2800以外は、いずれも2025年2月21日時点のAmazonでの販売価格。

NASの設定は各社製品ともに簡単

UGREENのNASは「とっても簡単!」と各所で宣伝されていますが、どのメーカーのNASを選んでも、それほど変わりはないと思います(たぶん)。今どき全部GUIですし、マウスぽちぽちしてれば設定できます。なので、UGREENでもQNAPでもSynologyでも、どれを買っても良いと思います。

それではみなさん、楽しいNASライフを。